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メンタルヘルス社労士・金親義彦

メンタルヘルス社労士・金親義彦

あっせんについて

  ~あっせんについて~

<会社と労働者の間でトラブルが増えています!!!>

(1) 社会保険労務士法の改正
 平成15年4月1日より、社会保険労務士法が改正され、都道府県労働局長が行うあっせんの代理権が社会保険労務士に認められました。
労働基準法などに明確に違反する案件以外で、事業主と従業員が紛争状態にある場合、都道府県の総合労働相談所であっせんの申請をして都道府県労働局長が認めればあっせんが開始されます。
社会保険労務士は事業主の代理人となることも、従業員の代理人となることもできます。ただし、双方の代理人になることはできません。

(2) 個別労働紛争の現状は?
 労働者と事業主の間の個別労働紛争の迅速な解決を促進するために平成13年10月に「個別労働紛争解決促進法」が施行され、各都道府県の労働局長は、個別紛争を未然に防止するための情報提供や相談に加え、助言指導さらに紛争調整委員会によるあっせん等の紛争解決の援助を行っています。全国300箇所に設置されている総合労働相談コーナーに寄せられた相談のうち、民事上の個別労働紛争件数を集計したものは、平成15年度は14万822件(前年度10万3194件、36%増)と大幅に増加しました。相談の内訳は、解雇(29.8%)が最も多く、労働条件引き下げ(15.8%)、いじめ、嫌がらせ(7.4%)が続いています。

 都道府県労働局長による助言指導の受付件数も、対前年度比87.7%増の4377件と大幅に増加しています。内訳は、やはり解雇が最も多く、労働条件引き下げ、いじめ・嫌がらせが続いています。申し出人は、労働者が大多数を占めていますが事業主からもあります。就労状況では、正社員が最も多いですが近時の非正規労働者の増加に伴いパート・アルバイト・派遣労働者からの申し出も増えています。
紛争調整委員会へのあっせん申請件数も、対前年度比76.3%増の5352件と大幅に増加しました。合意成立は2154件(42.2%)、自主的解決による申請取り下げは467件(9.2%)ですが、紛争当事者の一方が手続きに参加しない等の理由による打ち切りが2439件(47.8%)あり、紛争調整委員会にあっせんを申請したもののうち、約半分は解決に至っていないのが現状です。

(3) あっせんのメリット・デメリット

(メリット)
1、裁判手続きより迅速に結論が出ます。
2、あっせんの費用は行政機関が負担するため無料です。
 (但し、社会保険労務士などに代理人を依頼するときは、その費用がかかります)
3、手続きが裁判より簡素化されています。
4、あっせんの場は非公開なので、プライバシーが保護されます。

(デメリット)
1、あっせんに応ずるか否かは自由です。
2、あっせん案に応じるか否かも自由です。
3和解案の拘束力が弱い。

(4) 紛争調整委員会とは
1、第三者であるあっせん委員が紛争当事者の間に入り、双方の主張の要点を確かめて紛争当事者の調整を行い、話し合いを促進することによって紛争の円満な解決を図る委員会です。
2、あっせんは、個別労働紛争を解決するための方法や解決策を当事者同士が話し合うための制度であり、あっせんに参加する・しない、合意する・しないの判断を含め全て当事者の判断で行われます。
3紛争調整委員会は、弁護士、大学教授など労働問題の専門家である学識経験者により構成されていて、あっせんに際してあっせん委員は紛争当事者の間に立って調整を図りますが紛争当事者に一定の措置を強制するものではありません。

(5) 事業主の代理人になる場合
1、都道府県労働局長より、非申請人(事業主)にあっせん開始の文書が通知されたら、社内で事実確認を行い、労働判例を参考にしてあっせんに応ずるか否か検討します。
2、事業主があっせんに応ずることを決めれば社会保険労務士を代理人にするか否かを検討し決定すれば行政より代理人の許可を得ます。
3、あっせん参加の準備
 a)事案の事実の詳細な調査、検討、第一次解決案の作成。
 b)行政が行う事情聴取の参加。
 c)事情聴取を考慮して再検討し第二次解決案の作成。
4、あっせん当日
 a)代理人として、主張、反論、解決案の提示。
 b)携帯電話などで事業主と最終意見調整。
 c)合意が成立しなかった場合、今後の訴訟等の打ち合わせ。
5、原則として、あっせんは1日で終了します。

(6)事業主側からのあっせん申請例をあげてみます。
a)能力が低いので、職位・給料を下げたが、文句を言ってきた例。
b)勤務中にインターネットで仕事とは関係ないウェブサイト(画面)をよく見ているので注意したが改めない例。
c)病院で茶髪がふさわしくないので、注意しても改めない例。
d)協調性に欠け自分勝手な行動をするので、注意したが改めない例。
e)遅刻・欠勤を繰り返すため、注意したが改めない例。
f)関係会社に出向を命じたが、応じない例。
g)残業代目当てで仕事もないのに職場に残り、残業代を請求してくる例。
h)社内恋愛で会社に迷惑をかけるので、注意したが改めない例。

(7)労働者側からのあっせん申請例をあげてみます。
a)労働者派遣に関する問題
b)解雇の関する問題
c)いじめ、いやがらせに関する問題
d)セクシャルハラスメントに関する問題
などなど、たくさんあります。

 しかし、このような公的な機関に頼まなくても、社労士に頼まなくても、会社と労働者との自主的な話し合いで解決できれば、本当は良いんですけどね・・・。







 
 


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